☆ 5月第1週 ☆    2015/04/30 〜 05/06


 断捨離 : 懐かしい本 のケース @


古い書籍で、シリーズものなどは、知人に引き取っていただきました。
しかし、あまり名前も知られておらず、とりわけ私の青春時代の古いものは、
この辺りで、廃棄するしかない時期に来ているようです。

そういう本のいくつかをもう一度だけ思い起こした上で、処分しようと思いたちました。



   ● 同人誌 「泥水」  創刊号  昭和 28年3月 : 1953年

      定時制高校は同級生と言っても 5歳以上の差があって、いろいろな社会体験をもつ人がいました。    
      私自身、中学卒業から2年間のブランクをもって入学したのですが、それ以上に年配の同級生が
      いるのも、それほど不思議なことではなかったのです。 そういえば、同じ会社に勤務する先輩が、
      子供さんの誕生を機に、入学したというケースも思い起こされます。

      そうした年配の同級生のお一人に、M さんがいます。 現在は、千葉県に在住だと思いますが、
      当時は別府市内の歯科医院で、補助的な仕事をしていました。 Mさんとは、バレーボールを
      (遊び程度に)したりする仲間でもあったのですが、市内の同人誌のメンバーだったようで、
      その創刊号と、多分第2号を私にプレゼントしてくれたのでした。

      私はあまり文学には興味を持っていないのですが、この創刊号だけは、なぜか手許に残っており、
      思い出深いものになっています。


      以下は、その中の、とりわけ印象深かった数点です。


    ま さ ・ な ら   砂の人形

       あの星は僕の贈り物
       砕かれた鏡の破片

       あの夜はあなたの誕生
       砂の中に時計の埋められた時

       貝殻は
       あなたの身分証明書

       でもあなたは死ぬでしょう
       僕の想いの満ち潮に




        正直に言って、これは、私には全く理解できない作品です。
          ただ、その不思議な印象が、音楽的なインスピレーションを
          齎してくれました。
          ずっと後になって作曲した The Sound Litany の第3楽章は、
          この詩に触発されてのものでした。





    首藤 教之

    エリザベットの居ない湖にて

       僕は再び湖に来た
       漣をその表面のすみずみまで浮かべて
       きらきら光り
       懐かしい草花の数々がなだらかな
       丘の起伏をおほふ。
       空間の小鳥の声も
       波の寄せる音も
       草原の匂ひも
       雲の流れも
       一年前のあの時と少しも変わらぬ。
       しかし何故違うのだろう。
          何故寂しいのだらう。 何故、
       あの時のやうな美しい霧がないのだろう。
          何故変わったのだらう。

       エリザベットが居ないからだ。
       エメラルドの夢から醒めて薄い霧がとけて消えた。
       もし今こゝに彼女が居ても、
       僕はそれをエリザペットと思はぬだろう。
       エリザベットは永久に消えた。
       僕の心に彼女は二度と来ぬ。

       あの美しい霧に包まれた日は
       二度と来ぬ。



    朝見上水池裏山にて

       僕の背中の後にある
       山の影が
       僕の足元から
       だんだん前へ
       麦畑の上へ
       黒い木立の向うへ
       そして屋根の集まりの上へ

       結論というものがありません
       もやもやしていて

       そのくせ
       全部が「結論」です

       何と断片的で
       何ともやもやしていて
       何とはっきりしている事でしょう

       偉いのかも知れません
       バカかも知れません
       もしかすると気違いかも知れません    
       がとにかく「僕」です


この2つの詩、声を出して読むのが好きでした。
前者はちょっと芝居っ気たっぷりに、後者はクールに淡々と。 
そんな愉しみを教えてくれた でした。



    岩 田 裕 子   春 夏 秋 冬 (から)

       今宵亦別れを惜しむ人ありて汽笛の音にも秋風の吹く

       しかりつゝ苦い薬を持ち来ては我にのませし祖母も老いたり


    この2つの句だけは、なぜかずっと
    心に残っているのでした。





今週の有難う!     先週、金婚記念日を迎えたことを紹介しました。
  連休の今週、息子・娘が祝いの席を設けてくれました。
  本当に嬉しく有難いことでした。

  夫婦で助け合って毎日をできるだけ元気に過ごせる
  よう、これからも心がけていきたいと、改めて肝に
  銘じた二人です。
   



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