☆ 12月第3週 ☆    2014/12/11 〜 12/17


人の寿命 と 企業の寿命 : 逆転の現実

私の若い頃と、現在とでは世の中のいろいろな面で大きな変化が起こっているのは当然のこと。
平均寿命シリーズの最後に、人の寿命と会社(企業)の寿命をテーマに考えたいと思いました。


   私の場合、16歳で国家公務員(電気通信省)に就職(当時のことばでいえば「奉職」か?)しました。
   翌年6月、電電公社に組織が移行し、国家公務員から「社員」になりましたが、勤務場所はそれまでと
   同じ郵便局の建物の中で、見かけ上は特段の変化はありませんでした。

   時代は30数年飛んで、1985年、公社は民営化して株式会社となりました。
   とはいっても建物も、日々の仕事の進め方も目に見えて・とんでもなく一変するというものでは
   なかったのです。

   1990年末に退職するまで、ほぼ40年間、私は一貫して「日本の電気通信事業を担う企業」に奉職して
   いたのでした。
   もちろん、従事した仕事の内容は、「電報事業」⇒「電話事業」と変化し、また同じ電話事業の中でも、
   「営業窓口」⇒「コンピュータセンター」などへの変化はありましたが、これは事業と社会との関り方の
   変化(つまり、社会のニーズが電報から電話へ、通話から情報処理へと変化していった)という、
   社会の大きな流れに対応するための、当然の変化だったと考えます。

   とはいえ、私(会社員)は、40年ほどの間、同じ企業に勤務し続けていたのです。
   ところが、現在では『人の寿命よりも企業の寿命の方が短い』という逆転の現実が発生しているのです。    

   ネットで検索すると、いくつもの分析がすぐに見つかりました。


       定年までもたない 企業の寿命

       徹底検証、会社の寿命

       倒産企業の平均寿命は 23.6 年


   こうして見ると、今の若い人たちが、私の若い時代よりも、むしろ過酷な・深刻な時代を生きているのだ
   ということがよく分かります。
   企業に長く勤めることで生活の安定を図るという生き方が、もはや通用しなくなった時代だということ、
   若い人たちの生き方のスタイルは、私の時代とは別のものになっていくのは『必然』だということ。

   私には、『ご苦労様です。企業という他者にいつまでも依存する生き方から、自分の知恵と勇気を発揮
   する独自ユニークな生き方に、方向転換する皆さんの健闘を祈るのみです。』 としか言いようがありませんが、
   こういう厳しい時代に 《存在させられている》 若い人々が、思いっきりその力を発揮できるよう、せめて
   私たち老人が余計な負荷・重荷とならないよう、心がけたいと思うことしきりです。

   安楽死や尊厳死についても、そうした視点から考える余地があるのだと思っています。
   いわゆる 《姨捨山伝説》 とは別の意味で、老人たちは、若い人たちに重荷とならない生き方を
   しなくてはならないのではないか ・・・ そう思えてなりません。

       親孝行、したくないのに、親がいる。

   こうは言わせない状況を願っている ・・・ 私でした。






プログラムで振り返るオペラ E : プッチーニ 「蝶々夫人」


   「カルメン」「ペレアスとメリザンド」「オテロ」「ジャンヌ・ダルク」に続くオペラ鑑賞が、「蝶々夫人」でした。
   日本が舞台のストーリーだけに、親しめる作品ですし、プッチーニならではのメロディーの美しさも人気の    
   要素でしょう。
   
 1960/ 3/12 ガエタノ・コメリ指揮 ABC交響楽団: 共立講堂
 今井久仁恵、宮本正、丸山清子 ほか
 1988/ 6/ 4 小松一彦指揮 関西フィルハーモニー: 尼崎・アルカイックホール
 栢本淑子、布埜秀ム、近藤道子 ほか  関西歌劇団
 1996/ 5/17 小澤征爾指揮 新日本フィルハーモニー: 尼崎・アルカイックホール
 ガリーナ・ゴルチャコワ、リチャード・リーチ、フランチェスカ・フランチ ほか
 2006/ 7/16 佐渡裕指揮 兵庫県立芸術文化センター管弦楽団: 兵庫県立芸術文化センター
 大岩千穂、ジョン・マッツ、小山由美 ほか

   1960年のものは、ソプラノの 今井久仁恵さん の『凱旋公演』として企画されたものでした。
   今井さんは 1958年に、ニューヨークのメトロポリタン歌劇場で、日本人として初の蝶々夫人を歌ったと
   いうセンセーショナルなニュースに彩られたプリマです。
   当日の日記に、

        『今井さんのバタフライ。 とにかく大変なもの。 圧倒的な声量。 他の歌い手は
         全然問題にならない。 わずかにスズキとシャープレスが奮闘。 やはり、外国で
         訓練されるとスケールが違うんだ。 音程のことなどでいろいろ言われているよう
         だが、僕は立派だと思う。 ただ、この公演全体としては、貧弱な感じ。』

   と生意気な感想を記しています。 ただ日本ではあまり活躍する場はなかったようで、留学したスペイン
   を本拠地にしていたようでした。

   思い出深いのは 1988年の関西歌劇団によるものです。 この公演には女房と娘も一緒に行ったのです
   が、娘を連れてのクラシック演奏会は、これを含めて2度しかありません。
   オール日本人の手によるこの舞台では、蝶々夫人公演によくありがちな 「日本人から見るとおかしな
   演出」 は皆無で、安心してみることができました。 会場の通路を使った着物姿の大勢の女性の登場
   など、印象に残る演出は、さすが武智鉄二ならではのもの!!  とても印象に残るステージでした。


   LPでは、トゥリオ・セラフィン指揮、ローマ聖チェチーリア音楽院管弦楽団による3枚組を持っていました。
   テバルディの蝶々さん、カルロ・ベルゴンツィのピンカートンとくれば、これはもう文句のつけようがない
   と言うしかありませんね。



今週のやっぱり   12/14 の総選挙では、予想通りに自民・公明の与党勢力が圧勝。
  これで長期政権を国民が期待していることがはっきりとしました。

  前々回の民主党政権が「コンクリートから人へ」も、「消えた年金記録」も
  口先だけだったということを露呈させ、鳩山総理の「沖縄の基地は少なくとも
  県外へ移転」とのいい加減さや、菅総理の福島原発対応のまずさなどで
  見事に国民の期待を裏切ったことが、自公政権以外に日本を委ねることなど
  『むなしい夢』でしかないことを決定的に印象付けたといえましょう。

  国民の期待に応えて、自公政権は「身を切る改革:議員定数の大幅削減」を
  思い切って提案して欲しいものです。
  そうすることが、今回の選挙で示された国民の負託・期待に応える、最大の
  施策となり、政権の長期安定化に資するものとなるでしょう。

  以上、野党に投票した立場からの自公政権に対する期待です。




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