06.02

  11時半、吉祥寺教会でのミサ。
  午後、新宿でデパート見て歩き。 ニッカーを求める。
  オルガン・メディテーション。 ペルゴレージ:第8曲のコーラスの
  迫力はすばらしい。 また、コントラルトはいい声だ。(音程はやや
  不確か) ほかに、ヘンデルのオルガン協奏曲。 桐朋のアンサンブ
  ルの絃の音は全く美しい。
  皆で、教皇様のために祈る。

  この日のオルガン・メディテーションは、バラエティに富んだプログラム  
  だったようです。 桐朋というのは、桐朋学園の学生による弦楽合奏団の
  ことです。 現在でも、ここの弦楽合奏のすばらしい伝統はきちんと受け
  継がれています。
06.03

  雨。 台風第2号の接近とか。
  パンチ終える。 500 ワードくらいになる。 明日、デバッグ。
  国立。 島岡先生、U7 の続き。 少しは分かるようになる。
  この実習は本当に有益だ。
  ベルリン・オペラ、近いうちに発表の見込み。

  秋に開場予定の日生劇場のこけら落し公演として、ベルリン・ドイツ・
  オペラの来日が伝えられていました。
06.04

  教皇聖下、亡くなる。 平和の教皇として多くの尊敬が集められた。
  20世紀の教会にふさわしい新教皇の選出を祈ろう。 Requiem ・・・

  雨がよく降る。 デバッグ、終わらない。 一日ではとても無理。
  一応の見通しはたつ。

  夜、NHK 第2.「風立ちぬ」岸田、仲谷。 何とも前時代的ではある。

  ヨハネ23世は、20世紀のカトリック教会を大きく方向転換させた
  偉大な教皇でした。 教皇が始めた第二バチカン公会議は未だ会期半ば
  の状態でしたが、次の教皇に引き継がれ、最終的にカトリック教会の
  大きな刷新(現代化)を実現します。 しかし、この時点ではまだその
  イメージが教会全体に理解されていたとは言えなかったと思います。
  NHK の「風立ちぬ」。 堀辰雄の原作ですが、どういう演出のもので
  あったかは記憶がありません。 岸田今日子・仲谷昇夫妻は、この年の
  1月に、文学座から離脱し劇団雲の結成に参加したのでした。
06.05

  I.O.C.S の説明会。 担当、T15 さん。 よく理解できない。
  国立、休講。 で、すぐに寮に戻って山行の準備。
  上野発、夜9時すぎの尾瀬号。 席は楽にとれる。
  沼田駅で腹ごしらえして、いよいよ出発。 ものすごく揺れるバス。

  尾瀬にひとりで出かけました。 もっとも列車やバスは尾瀬を目指す
  登山者でいっぱいでした。
06.06

  美しい朝焼け。 大清水で、そばなど食べ、4時半に歩きはじめる。
  全く新緑がすばらしく、うぐいすやカッコーの鳴くのも楽しい。
  三平峠から、まもなく沼へ。 燧の山容の何と近く、大きいことか!
  カメラに入りきれない位だ。
  長蔵小屋で、長靖さんと少し話す。 全くここは幻想的、日本の
  ブリガドーンだ。 しかし、曇り空の下で、色彩的ではなかった。
  沼尻から尾瀬ヶ原までの2時間は新緑を除いてはつまらない。
  途中の田代が僅かに興味をそそる。
  彌四郎小屋に宿をとり、三條の滝へ往復。 全く大変な泥道でいやに
  なる。 しかし、この滝はすばらしい。 滝なんて水が落ちるだけ・・・  
  というぼくの観念を完璧に覆す。 この勢いたった流れ。
  三條は、尾瀬の巨大なファルスだ! といいたい。

  長蔵小屋は、尾瀬の自然を愛した高野長蔵さんがはじめた山小屋。
  長蔵さんの息子 長英さん、孫の 長靖さんにその志は受け継がれて
  いきます。
  実は、長靖さんの高校時代の同級生が通研にいる A5 さんで、私が
  尾瀬に行くということから、長靖さんを紹介してくれたのです。
  長靖さんは大学卒業後、新聞記者をしていたのですが、祖父・父の
  尾瀬を愛する心情に共鳴し、記者をやめて尾瀬に戻ってきたところ
  でした。 (当時、28歳)
  長靖さんは、その後、36歳という若さで亡くなっています。
  参考:<後藤允氏の読書録>:尾瀬 山小屋三代の記

  ブリガドーンとは、スコットランドの高原に現れる不思議な村の名。
  ミュージカル映画で知った、私には「幻想の世界」です。
06.07

  朝、尾瀬ヶ原を縦走にかかる。 竜宮から山の鼻までは全く素敵だ。
  これこそが尾瀬の良さではないだろうか。
  広い原、湿原、池塘、水芭蕉に立金花、新緑、燧ヶ岳や至仏山の姿・・・
  木道もずっと歩きやすい。
  鳩待への道を誤り、苦しむ。 他にも2つのパーティーが間違った道に
  迷い込んできた。
  ガスにまかれた鳩待峠。 アヤメ平をあきらめ、雨の中を下る。
  上牧温泉で、ひとりきりの客となり、27歳最後の夜を過ごす。

  鳩待峠へ向かったのですが、途中の標識を見失って、膝まである
  流れを渡る羽目になりました。 そこで、こんなコースであろう
  筈がないと思い直し、引き返しました。 標識を見失ったのは
  私だけではなかったのです。 私の状況説明で、一緒に戻り、
  見失った標識を発見しました。 この体験は、私の山行の唯一の
  ちょっと危険な思い出となりました。
  上牧温泉では、改装工事中の宿にお願いして泊めてもらいました。
  温泉は使えたので、ひとりで尾瀬の疲れを癒したのでした。
06.08

  天気はぐずついているが、大峯沼へ向かう。
  途中のガスでは、淋しくなる。
  沼はすっかりガスにまかれ、何も見えない。
  釣りをする人、管理人さんと話し込む。
  やがて、沼の全容が見えてくる。 ここでフィルムを使い果たす。
  本当によく撮ったものだ。
  ここは、エリザベートの湖。 いいところだ。

  夜、ビールで誕生日を祝う。
  寮に、I2 さんからのバースデー・ケーキが届いている。
  左手の筋肉炎、右ひざ外側に痛みがある。
 
  「エリザベートの湖」というのは、私の個人的・
  空想上の湖です。
  いわば「ブリガドーン」にある湖のようなもの。
 
    もともとは、M5 さんが所属していた同人誌
    「泥水」創刊号 (1953.3) に掲載された
    首藤教之の「エリザベットの居ない湖にて」
    に由来。

  I2 さんからの贈り物はちょっと意外でした。








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