サンティアゴ巡礼路の最終目的地は、使徒聖ヤコブの遺骨のあるスペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラ大聖堂である。 大聖堂の5キロ手前に「歓喜の丘」と呼ばれる高台がある。目指す大聖堂をついにその目にした巡礼者が、歓声を上げて丘を 駆け降りることから、この名が付いたという。ここまで来ればもう、着いたも同然。その喜びはいかがばかりか。 この、「実際にはまだ着いていないが、現実にはもう着いている」という状態は、実はキリスト教の救いの本質に属している。 胸躍るこの幸いな段階こそは、神の国に向かって歩むように創造された人間存在の意味をはらんでいるのだ。 もちろん、この丘でいいというわけではないのでさらに5キロの苦難の道を行くのだが、それはもはやそれまでの道とは違う。 着いたも同然の喜びの中を歩む、喜びの苦難の道なのである。とても興味深い解釈だと思います。